「社会人になって名刺交換するようになったけど、何でするようになったのかな?」

「名刺交換の文化って日本だけ?他の国でもしてるのかな?」

「名刺のマナーが決まっているけど他の国はどうなのかな?」

こんな疑問や悩みをおもちではありませんか?

実は、名刺交換の文化の歴史をさかのぼると、海外発祥であることがわかりました。

この記事では、名刺交換の文化はいつ、どこの国で生まれたのか、また日本と海外の名刺文化の違いについてもご紹介します。

名刺交換の文化はいつ生まれたの?

名刺交換の文化はいつ生まれたのでしょうか。名刺の歴史をさかのぼると、名刺の起源は中国であることがわかりました。その後、日本を含めて諸外国でも使われるようになっていきました。

以下では、

・中国

・欧米

・日本

それぞれの名刺の歴史について解説していきます。

はじまりは中国

最も早くに名刺が使われたのは中国です。7世紀の書物には記録が存在しています。

訪問先に自分が来たことを伝えるために、自分の名前を竹や木に書いて残していました。名前を書いた竹や木のことを「刺」と呼んでいたのが時代とともに変化して、「名刺」という言葉が生まれました。

現在の使い方:名刺交換時のポイント

現在では、対外的な仕事をしている人だけが名刺交換を行います。国内のビジネスマン同士では名刺交換はしません。日本とは大きく違いますね。

名刺交換したらすぐに相手の名前を覚えるようにしましょう。商談中に、テーブルに並べた名刺を何度も見ていると、「名前も覚えられない人」として、印象がとても悪くなってしまうからです。

また名刺入れに相手の名刺をしまうタイミングは、明確には決まっていません。ただし、TPO(時と場合)に合わせてしまわないと、「失礼な人」という印象を与えかねないので、丁寧にコミュニケーションを図りながら名刺を取り扱うことが重要です。

欧米

ヨーロッパで最も早く使用し始めたのはドイツです。中国よりもかなり遅く16世紀でした。

ドイツでの使用方法も、中国と同じく、訪問先に自分の来訪を伝えるためでした。18世紀にはヨーロッパ全体に広がり、19世紀にかけて図柄入りのものや写真入りのものまで登場しました。

ちなみに、このときに決められた名刺のサイズが82mm×57mmでした。これをもとにして現在の日本の名刺サイズ(91mm×55mm)になったのです。

アメリカでは、名刺は18世紀に使われはじめましたが、普段から使う人はあまりいません。南北戦争後の好景気のときに、お金持ちが自らの立場を自慢するために使っていた程度でした。ビジネスで使用されるようになったのは19世紀後半に入ってからでした。

現在の使い方:名刺に対する認識の違い

日本では初対面のときに挨拶後すぐに交換しますが、欧米では名刺交換よりも先に握手をすべきとされています。

なぜなら、欧米では名刺はあくまでも連絡先を教える道具でしかないからです。そのため、商談相手と今後連絡する見込みがなければ、名刺を渡すことはありません。

これは、今後の見込みがないにもかかわらず名刺交換をして連絡を取り合うことがあれば、それは相手の時間を浪費させてしまうことになってしまうので良くないというマナーがあるためです。名刺に対しては非常に合理的な考え方ですね。

ちなみに、ここで各国の認識の違いをご紹介します。

・アメリカ:連絡先が書かれたただの紙切れ

・イギリス:パーティー会場で渡す

・ドイツ・ロシア:対外ビジネスのときに使う

・フランス:管理職以上の立場の人が持つ

このように、欧米では、名刺交換よりも握手のほうがずっと重要なのです。

握手の仕方

では、名刺よりもずっと重要な握手の仕方をご紹介します。初対面での握手のマナーは特に重要です。マナー通りに行えなければ誠意が見られないということになってしまうからです。

具体的な方法は、

・相手の目をしっかり見る

・笑顔で握手をする

ことが基本です。

握手をしながらお辞儀をしてしまったりすると、目をそらしたことになってしまいますし、力を入れずに握手をすれば、気持ちが入っておらず失礼だとみなされてしまいます。以上のように、欧米では名刺交換よりも、握手のマナーをしっかり守るようにしましょう。

日本

日本では19世紀に使われはじめました。江戸時代であり、当時は墨で和紙に自分の名前を書いて、訪問先相手の不在時に置いてくるという使い方をしていました。

その後、19世紀後半には家紋を入れた名刺も登場。役人が外国人と挨拶するために作られました。名刺のはじまりは諸外国よりも遅かった日本。しかし、現在では世界で配られる名刺の7割がを本人が消費しているのです。

英語表記をするときの注意点

現在では海外の人と仕事のやりとりをする際、英語表記のある名刺を使用すると便利ですよね。英語表記の仕方にミスがあると、思わぬトラブルを招きかねません。そこで下記の点について注意しましょう。

日本人の氏名の順は英語でどう表記するか:「姓ー名」か「名ー姓」か?

結論からいうと、「姓ー名」です。パスポートはすでに「姓ー名」で書かれており、パスポートに合わせるのが無難だからです。

2019年5月21日に政府は「姓ー名」の順で表記するように都道府県やメディアに通知することを発表、萩生田光一文部科学大臣は同年10月25日の記者会見で、2020年1月1日から公文書での日本人の氏名の表記を「姓ー名」の順にすることを発表しました。

実際、すでに首相官邸ホームページ(英語版)などでは、大臣の名前などは「姓ー名」(姓はすべて大文字)で表記されています。

実は、文化庁は2000年にすでに「姓ー名」を推奨していましたが、浸透していませんでした。今回の発表・実施により、大きく変わるかもしれません。

株式会社は英語でどう表記するか

結論からいうと、「Co., Ltd.」(Company Limited)がおすすめです。一般的な使い方ですし、すでに日本でも多くの企業が使っているからです。

このほか、

・「Ltd.」

・「Corp.」

・「Inc.」

これらも株式会社という意味で使われており、使用するには問題ありません。

1点だけ注意するべきは、「KK.」という表記です。これは日本語の「Kabushiki Kaisha」の頭文字であり、海外ではまったく通じません。名刺で使用するのは控えたほうがいいでしょう。

まとめ

ここまでの内容をまとめます。

・名刺は、中国で700年頃、竹や木に名前を書いたものとして生まれた(諸説あり)。

・日本では19世紀(江戸時代)に生まれ、江戸時代末期には海外の取引でも使用された。

・日本と海外では、名刺交換のタイミングや、交換後の名刺の取り扱いなどが異なる。

普段から名刺を使って営業している人でも、名刺の歴史を知っている人はそれほど多くないと思います。

思わず「へぇ~」と言いたくなる豆知識として、商談相手との雑談などで話してみてもいいかもしれませんね。