元来、お客様先様から拝受した名刺は大切に名刺専用のバインダーに保管していました。そのバインダーには50音別のインデックスなどが付いているアナログ最前線の冊子です。現在も名刺専用のバインダーを利用しているビジネスマンが多くいらっしゃると思います。

しかし、IT化が飛躍的に進化したなかでは、紙製の名刺を専用バインダーに収納するのではなく、コンピューターによる一元管理化が進んでいます。業界最大手のSansan社のテレビCMでもおなじみの「早く言ってよぉ!」というキャッチコピーを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

コンピューター化による一元管理化が進んでいる理由は、社内で名刺情報を共有化が可能になるためです。各人が名刺専用のバインダーに収納して引き出しに保管するだけでは、名刺情報はたち切れしてしまいます。しかし、名刺専用のアプリケーションソフトウエアに取り込むことで名刺情報が社内に流れるので、活きた情報になるのです。これから、名刺管理について説明をしていきます。

名刺とはなにか?

皆さんは自分自身の会社・氏名が印刷された名刺をお持ちと思いますが、「名刺」とは何かご存知でしょうか?辞書によると「名刺」とは、氏名・住所・身分などを記載した社交用の紙片のことです。

名刺の起源には諸説あり、3世紀頃とも7世紀頃ともいわれています。はじまりは中国で、訪問先に自分が来たことを伝えるために、自分の名前を竹や木に書いて残しました。

そして16~17紀頃には、ヨーロッパ全土へ普及していったと言われています。当時はトランプカードの裏面に氏名を書いて用いていたようです。その1世紀後の18世紀には、今のような名刺がつくられるようになりました。当時の名刺は紙片の縁に装飾模様を印刷したカードが流行りました。中央に氏名を印刷して、余白は手書きで記入して使用していたようです。

19世紀には、カード一面に繊細な銅版画をデザインした紙片が流行りました。中央に氏名だけを印刷するものでした。名刺の使途はビジネスマンが用いるアイテムではなく、社交界のセレブ階級の皆さんが会食・宴席に招待されたとき・引越し・祝い事・お悔み事で用いられました。

詳しくは「名刺交換の文化っていつ生まれたの?」名刺の歴史を解説をご覧ください。

名刺管理のメリットを紹介

これから名刺を管理するメリットを紹介します。几帳面なビジネスマンは前章で説明したように50音別のインデックスが付いた名称専用のバインダーに保管していました。

名刺交換を繰り返すと名刺専用のバインダーの冊数も増えていくはずです。そして「どの名刺専用のバインダーに保管していたか?」「もらったが、名刺専用のバインダーに保管した記憶がない」など個人の整理能力に依存することになります。これから名刺を管理・整理することのメリットを紹介します。

ビジネスチャンスを逃さない

ビジネスマーケットなどで競合をしているときに、社内に該当のお取引先様と名刺交換した事例があるとき、その人脈を活用してビジネスを有利に運び成功を得るかもしれません。一から開始するよりも効率的と言えます。名刺管理をすることで、回り道をせずにターゲットを見出せます。

名刺を探す手間を省く

もらった名刺を各人が名刺専用のバインダーに保管しておくと情報がたち切れします。名刺を共有化することで、名刺を探し回ることなくターゲットを見出せます。

業務のアドバイザーを見つけることができる

社内に該当業務に精通した部署・人材がなくとも、協力会社などに該当業務に精通した部署があることがあります。名刺を共有化することで、ビジネス上の問題点を解決する窓口が見つけて進展することができます。個々に名刺専用のバインダーに保管することで、情報が非活動になってしまいます。

名刺の現物管理方法

ここでは、名刺の現物管理方法を紹介します。名刺の現物管理には、3つの前提条件があります。これから3つの前提条件を紹介していきます。

目的の名刺をすぐに見つけ出すことができること

名刺の現物管理には、①使用頻度によって名刺専用のバインダーを分割する方法があります。②業種別に名刺専用のバインダーを分割する方法があります。お客様先様別/協力会社別/同業事業者別などに分割すると効率的です。③50音別のインデックスを付けた名刺専用のバインダーに収納することで、すぐに目的の名刺を見つけることができます。

「管理」「整理」に時間を費やさない仕組みであること

前項では名刺専用のバインダーを活用した現物管理方法でした。名刺専用のバインダーへ収納する手間を省きたいときは、名刺専用の保管ケース(ボックスタイプ)を使用します。例えば、「ア行」「カ行」「サ行」…など大雑把に仕分けした収納をすることで手間を省くことができます。

名刺を捨てる日を定期的に設定すること

名刺はもらう一方で返すことがありません。担当者変更や取引停止をした対象の名刺を整理(捨てる)することを実践しましょう。半年に1回・1年に1回程度の頻度で整理(捨てる)する日を設定して不要な名刺を整理しましょう。

デジタルで名刺の管理・整理をする3つのメリット

前章では名刺の現物管理方法を紹介しました。これから名刺をコンピューター管理(デジタル管理)するメリットを3つ紹介していきます。

現物管理をしないので、保管する冊子、場所が不要

名刺をスキャナーでリードしてHDD/SSDに記録するだけです。あとはアプリケーションに依存して検索・表示させるので、現物管理がなくなります。

名刺データを共有化できる

名刺データを社内や部署で共有することで、「誰か名刺交換をしているか?」「この方を知っている人がいるか?」などの不要な会話はなくなるはずです。

名刺データの検索を瞬時に実行できる

コンピューター管理(デジタル管理)することで、業種別・50音別・地域別などにように多面的に検索・表示が実現可能です。第1~第3を実現するためには、もらった名刺を机の引き出しに入れずに、コンピューターに読み込ませることが重要です。同時にその方の名刺データの最新化が実行できます。

名刺管理にオススメのツール

コロナウイルスの影響で急速にデジタルシフトが進み、デジタル名刺に関するサービスも非常に多くなってきています。各サービス共に特徴的な機能を提供していますが、操作性やデザインなど多種多様にわたります。コスト面や機能面も考慮して、自社のニーズに即したツールを選択するのが良いでしょう。今回は名刺管理にオススメのツールを3つご紹介します。

SanSan

Sansanのスクリーンショット

「Sansan」は、法人向けの「名刺管理サービス」シェアNo.1として、冒頭でも触れたテレビCMでも有名です。「人脈」を簡単にデータベース化するといった顧客管理に役立つサービスを提供している業界の先駆けです。

一方で、名刺自体のデジタル化にも積極的に取り組んでおり、従来の名刺をスキャンしてデータベース化、デジタル化するサービスの延長として、デジタル名刺のサービスも提供しています。

機能の豊富さやサービスが成熟している点がメリットですが、初期導入費用がやや高め(※要見積ですが約10万円以上)なのがデメリットとしてあります。

出典:Sansan

Eight

eightのスクリーンショット

「Eight」は、個人向けの名刺管理アプリとして高いシェアがあります。

法人向けの「Sansan」との違いは、管理の単位が「企業主体」か「個人主体」かになります。個人が主体となる「Eight」は、転職時にも引き続き利用を継続できるなど、「ビジネス系SNS」という特徴があります。

個人向けでは、基本的に無料で使えますが、より高機能な「Eightプレミアム(月額480円または年額4,800円)」という上位プランも用意されています。

また法人向けのプランも用意されており、月額10,000円+(400円 ✕ ユーザー数)といった料金体系となっています。

出典:Eight – 名刺でつながる、ビジネスのためのSNS

ビジカ

ビジネスカードクラウドのスクリーンショット

名刺の整理・管理にオススメなだけでなく、オンライン会議にもとても便利な名刺管理ツールです。双方アプリのインストールが不要で、QRコードで名刺のデータを読み込み、保存します。後日、会議名や日時で即検索が可能です。オンライン会議用の名刺背景を自動生成するだけでなく、相手の名前や役職が分からないという心配も解決する法人向け名刺の管理ツールです。

デジタル名刺へのURL情報を含むQRコードが埋め込まれたリモート会議用のバーチャル背景(※「名刺背景」と呼称)を提供するといった特徴があります。

料金体系が「月額700円✕ユーザー数」となっており、法人向けとしては圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。さらに今なら、リモートワーク支援のため3ヶ月無料で利用できます。

出典:「ビジカ」オンライン会議用の名刺背景を生成

名刺をデジタル管理するときの注意事項

名刺をコンピューターで管理するときの注意事項を紹介します。「名刺は現物を名刺専用のバインダーに保管する楽しみがある」と言われる方がいると思います。しかし、名刺の情報は名刺専用のバインダー内でクローズされて、情報の共有ができません。そのため、名刺をコンピューター管理することで、情報の共有化を推進します。ただし、コンピューター管理による情報共有には注意すべき点が2つあります。

セキュリティ面

名刺は個人情報ですので、セキュリティシステムを整えることです。言い換えるとセキュリティ対策をしっかりすることになります。近年は諸官庁・大手企業で個人情報の流出・漏洩が問題になっています。流出・漏洩することは、多くの当事者・関係者の大きな迷惑をかけます。その火消し工程で何十億円~何百億円を掛けて原状回復費用を要することが散見されます。さらに、大手企業は信頼性が急降下して株価価額に影響を及ぼします。

万が一に備えバックアップは定期的に

名刺をコンピューター管理することで、現物の名刺はありません。そのため、名刺データベースへの不正アクセス・サイバー攻撃によって改竄・消去されるリスクがあります。そのため、定期的にバックアップをすることが重要です。

イントラネット環境でデータベース管理をしているのであれば、スケジューラーで定時バックアップを仕組んでください。また、クラウド環境であれば、バックアップは不要です。しかし、クラウド環境への不正アクセス・サイバー攻撃のリスクがあるので、大切な名刺データベースを安全な場所にダウンロードしておくと便利です。

まとめ

名刺の管理に専用のツール導入を検討している場合、まずは無料で開始できる名刺管理ツールを利用してみるのがオススメです。また、社内のネットワーク環境を活用するケースでは、有料の名刺管理ツールの導入を検討してみましょう。